ルークシュポール

CLOSE/クロースのルークシュポールのネタバレレビュー・内容・結末

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

普遍的な喪失とそこからの立ち直りの物語

何か・誰かを邪悪な加害者とするのではなく、ズレやボタンのかけ違いが生んだ物語だと思った
はじめレオをいじめていた人たちに「笑えない冗談だ」「あいつらこそ女かよ(その言い返しにも問題がないとは言えないが)と言い返すクラスメートの存在や、クラスでのカウンセリング?でレミについてクラスメートが書いた作文も、嘘やごまかしではなく彼らなりの本心だったと思うし 学校のレミにも友達がいたみたいだし

カウンセリングの先生が言っていた「感情はその人の自由」という言葉が心に残る

鑑賞前は周囲からの過酷ないじめ・迫害により云々、という話だと思っていたので意外だった
「あんたら付き合ってんの?」というイジリはあくまできっかけで、狭い世界からより広い社会に出ていく過程で起こってしまったこととして描かれてたと思う
はじめはスポーツ(や体育会系属性)を悪者にするのかと思っていたら、アイスホッケーもレオの成長?立ち直り?に寄与する一面もあり、単なる男社会への適応とも言い切れない(というより、各グループ男女が混合していたような)
リンクのアクリル板越しのレミの顔は悲しかったけど

とはいえ、はじめの二人の会話が輝かしかったのでそれでも喪失を消すことはできない
レミのオーボエに関するやり取りが特に好き
「僕がマネージャーになって、Youtubeでバズって大金持ちになって世界中を巡ろう」「まずはこの曲を完璧に吹けるようになってから」「もし選べるならどこの国に行きたい?」「メキシコかな」
「(コンサートで) 最前列で応援するよ、「レミ〜!!!」って」「そんなことしたら殺してやる」「だからやるんだよ」

実際のコンサートのレミの音色も心にしみた
あの音もこの世界から消えてしまったんだな

原語がTuなので仕方ないが、お互いを呼ぶ時に字幕で「お前」表記は合わないような、だからとはいえ「君」「あんた」も変だし…ひらがなの「おまえ」ならまだ合うようには思うが
日本語が代名詞使わない言語だから、このあたりに翻訳の難しさが出るな


内容とは無関係だが、字幕ありとはいえフランス語が7割くらい理解できて成長を感じた