旅するランナー

オーナーズの旅するランナーのレビュー・感想・評価

オーナーズ(2019年製作の映画)
3.9
【「ごめんね」「大丈夫だよ」】

「グレイマン」からのプラハつながりというわけではないですけど、正真正銘のチェコ映画です。
古びた共同住宅の部屋の持ち主たちが集まる、定例会議の模様を写すだけの室内劇。
日本だと、マンション管理組合とか町内会の会議に相当するわけですけど、出席者それぞれの思惑、日常の不満、意見の相違とかが溢れ出し、喧々諤々ヒートアップしていきます。

ただ、「ごめんね」と言わなければならないのは、おそらくチェコやチェコ人のことをある程度知っていないと、この映画の本当の面白さは伝わらないと思えるところです。
僕は5年間プラハに住んでいたことがあるので、
・規則とか書面にこだわるおばちゃん、
・アジア人を見ると、中国人かベトナム人と思う人たち、
・共産主義時代への複雑な思い、
・資本主義社会への複雑な思い、
そんなチェコ人あるあるが分かってるわけなのです。

まあ、どこの国にもこういう人いるよねって、一般的に思えるところもあって、「大丈夫だよ」って言えなくもないんですけどね。
映画を締めくくる言葉が日本語というのも意表を突いて、面白いです。
僕はEUフィルムデーズ2022で観ましたけど、もし観ることがことができる機会がありましたら、このブラックユーモア溢れるクスっと笑えるチェコ映画を、皆さんにも楽しんで頂きたいです。