りょう

ダークグラスのりょうのレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
3.4
 ダリオ・アルジェント監督が視覚障がい者を主人公にした作品を演出するなんて、どんな作風だろうと思いましたが、なかなか現代的な設定で意外でした。
 最初の被害者が路上に放置される描写がかなりグロテスクでしたが、そのまま暴走することなく、失明したコールガールと孤児になった中国人のチンとの交流や逃避を中心とした展開は、ちょっと普通すぎます。視覚障がい者を支援するリータがすぐに派遣されたり、まもなく盲導犬(しかもボディガードとしての能力が抜群)も獲得できたり、イタリアの障がい者支援って、こんなに充実しているんだろうか…って、サスペンス・スリラーとは関係ないところが興味深かったです。
 まさかリータが…以降の終盤の展開がグダグダで、中盤までのテンポのいい演出が台無しになってしまいますが、盲導犬のネレアが大活躍するエンディングとやっぱり犯人の行動原理がわからないという展開は、ダリオ・アルジェント監督らしい作品でした。ちょっと過剰な劇伴は、Industrial Metalのような音色がありつつ、やっぱりレトロなシンセサイザーが彼の映像に似合っています。
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