ヒノモト

少年たちの時代革命のヒノモトのレビュー・感想・評価

少年たちの時代革命(2021年製作の映画)
3.9
先日観た「理大囲城」と同じ2019年の香港民主化デモを背景に、デモ参加者の抵抗の表現として「自殺」することを防ぐために結成された捜査隊が、消息を絶った少女を捜索するお話。

12月から公開してましたが、やっと時間が取れて観られました。
お話自体はシンプルですが、合間にデモそのものや、登場人物たちがその空間にいる映像が差し込まれていて、時代の変換期に遭遇している少年たちの意思や小さな声、その抵抗の物語として、大変良かったです。

現実とのリンクとして、デジタルのくっきりした映像であり、被写体深度の浅く、登場人物たちの個々を浮き彫りにする描写になっていて、それぞれの考え方、立場の違いからくる衝突も含めて、フィクションでありながらリアリティのあるショットに溢れていました。

前述したように、お話、動機、そのメッセージとしてはシンプルでストレートなので、「理大囲城」と較べると観やすいドラマ作品なので、万人向けだと思います。

それでも、ゲームセンターで遊ぶ姿とデモに参加する感覚が同居するマインドがあって、そういう現実に晒されている動乱の中生きている人たちがいることは事実として受け止めたいです。

このような作品が観られることが、香港の抵抗の1つとして、世界に向けて発信されることにつながるのも事実なので、今後また香港発の娯楽作品が制作できるよう願います。
ヒノモト

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