アランスミシー

ショーシャンクの空に 4Kデジタルリマスター版のアランスミシーのレビュー・感想・評価

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《アンディ》安全志向→挑戦志向
妻の不倫の事実を目の当たりにして以来、酒に溺れ、人生の希望という名の光を遮るようにして壁を作って失望の檻の中に閉じこもる主人公。果てには妻と不倫相手を銃で脅す計画まで企てた主人公に神は改心のためのイタズラを仕掛け、皮肉にも妻と間男は強盗に殺され、主人公はその犯人として冤罪にも関わらず無期懲役の刑を課される。
しかし、神の導き通り主人公は塀の中での過酷さや他者の死から命の尊さを学び、まだ自分の人生には残された希望、そして役目(挑戦志向)がある事を悟らされる。
妻の不倫による失望=存在意義の喪失
キャリア的な意味での社会的地位は主人公にとってはなんの存在意義にもならずあくまで個人主義社会における自分自身の為以外の何ものも生み出さない、いやむしろそれどころか格差を生み出すことにしかなっていなかった、それよりもその中で一度も得ることのできなかった他者からの愛を獲得することこそが生まれながらにして個人主義社会に投げ出された惨めな主人公にとっての最大の存在意義でありかつ人生の希望であったが、妻の不倫は自分がそれを手にすることの無謀さを象徴付ける決定打となってしまった。
しかし刑務所の中で主人公が手にしたのは、自分の知恵が他者の役に立つという存在価値の獲得であった。
初めは見下していた自分とは比較にならない程学の無い囚人たちと暮らす中で、主人公は
個人主義的な独占ではなく、社会主義的なシェアする行為こそが人生に価値を生み出すのだと気付かされる。

資本主義社会は常に人間のエゴを肥大させ、互いに都合の良い関係の為にしか人間関係を結ばない為、疑心暗鬼になり人を信用できなくなる。そんな中で人を再び信頼する心を取り戻し助け合いの精神が復活するまでの話

ハドレーもレッドもアンディも皆人間関係に対する疑心から安全志向化が始まった事からも分かる。

資本主義がもし仮に、「愛を手にしなければ人は永遠と何かを欲し続けるから良い働きアリになるぞ、産めよ増やせよによって永久機関として持続するエネルギー生産資源ともなり得る」と考える人間に生み出されたのなら、本当に恐ろしい。エゴほど生物を苦しめるものは無い。
いつ死んでも怖くない自由の境地により多くの人が早急に辿り着けたら



《レッド》