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ブロンドのyuriのレビュー・感想・評価

ブロンド(2022年製作の映画)
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真剣に観ると鬱になりそうな内容だと鑑賞前から聞いていたので飛ばし飛ばし観た〜
アナ・デ・アルマスちゃんのマリリンに憑依した演技はひたすら素晴らしかった。
本作はマリリンに関する事実かどうか分からないネガティブな噂を可能な限り悲惨かつセンセーショナルに描いてて、画面に映る彼女は9割がた泣き顔、半裸。マリリンの魅力に愛情欲しさや脆さや弱さから来ている部分があるのは事実だけど、こんなにも無力で搾取されっぱなしな女性なのかというと、そんなことないのではと思った。

この物語では実際のマリリンの映画たちも、ノーマジーンの人生を邪魔するものとして「こんなはずじゃなかった」と悲しく描かれてるけど、実際のマリリンには芸術としての映画を作り上げる「アーティスト」になりたいと、自身の人気や魅力に胡座をかかず勉強し続けていた側面もあって、私は彼女のそういうところに尊敬しか湧かないんだよね...!
軽薄なブロンド美女の役ばかり割り当てられることに不満を感じ29歳でマリリン・モンロープロダクションという制作会社を立ち上げていたり、公民権運動に協力的で、黒人歌手お断りだった劇場に友人で自身もファンだったエラ・フィッツジェラルドを出演させる様に働き掛け毎日最前列で彼女のステージを鑑賞したりといった逸話も、彼女の知性やマイノリティへの愛を感じさせてとても好き。今マリリンという女性を掘り下げるなら、こういう部分にフォーカスした作品を観てみたかった気持ち。

もちろんマリリンの明るい笑顔や色気の裏に、当時のハリウッドの性的搾取や幼少期のネグレクト、夫からの暴力といった問題があることを無視してはならず、無邪気に彼女の美しさを消費してる場合ではないんだけど、それらを大衆の好奇心を煽る光と闇として、またはかわいそうな女性として消費しているという見方も、この映画にはできるかもしれないね...
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