「嘘…欺瞞なのね」
タイトルからあらすじが推測できる良心的な作品でした
これはドラえもんワールドにおける人類補完計画や、人民寺院などのカルトに対する批判である(ちがう)
または、共産主義に対する否定的感覚を植え付けようとするマイルドな洗脳である(陰謀論者)
----以下、感想----
率直な感想としては、ご都合主義がすぎて雑な展開だなあ、という想いがある
一方、友情というテーマを伝えることについては真摯に向き合った印象を受けました
猫型ロボットは人間の友達になるために生まれた、的な話があります
友達とはなにか…今回は息子たちの付き添いで観ましたが、彼らにとって得るものがあったなら良いなあ
また、この映画にはもう一つ大事なテーマがあると感じた
それは自己同一性、アイデンティティである
僕ってなに?心とは何か?
象徴的なセリフに
「これが僕だから」
というのがありました
小さい子供にも考えてほしいテーマです
が、そんな話で多少ジワ〜っとしていたところ、驚く展開で梯子を外されました
大破したと思われる主要キャラ(ロボット)の、メモリーチップが舞い降りてきたシーン
メモリーがあるから筐体を用意して読み込ませれば…復活できる!また会える!みたいな話
心とは何かね、アイデンティティとは何かね、という思いに駆られた
次に、レイ博士について
レイ博士の掲げた理念は共感できる部分も大いにあったと思います
なんだけど、なんかサクッと悪者にされてしまって、思想も純粋に悪一色みたいな印象にされてしまったのが勿体無く感じた
分かりやすく対立を煽り、「やっちゃえのび太〜!」という空気にしてしまったのは残念に思います
感情移入できる余地をもう少し与えてやれば、共産主義的な「ユートピア」の欠点とかを考えさせることもできたのに、と思う
もっと深掘りして考えさせた方が映画としての価値を高めたと思うけど、対象年齢を考えると仕方がないのかな(んなこと言うならそこを攻めるなよ、と思うけど)
脚本、リーガルハイなどで有名な古沢さんなのね
なるほど、という気もする
----以下、余談----
キャラについて
(この映画の中に限定して言うと)のび太って、嫌なやつだなあと思った
まず向上心がない点がいただけない
物語的に盛り上がる場面では気持ちの強さが見えるけど、出来が悪いなりに努力する姿は見せてほしい
そして、自分で努力はしないくせにドラえもんに「ガラクタばかり出す役立たず」みたいな悪口を言うの、見ていて少し腹が立った
どの口が言ってんだよ、と
人としてサイテーじゃない?
スネ夫もジャイアンも、普通に嫌な奴だと思う
劇場版のたびに美化されるの、何歳になっても受け入れられねえ
欺瞞じゃねえか
のび太がスネ夫について(友達を想う場面で)「意地悪だけど仲間想い!」と称する場面があった
「意地悪だけど仲間想い!」
これ絶対おかしいでしょ
仲間想いって何?どういうことだ?
仲間のことを想ってたら、日常的に意地悪してても許されるの?
仲間想いな面は行動で示してくれよ…
これも欺瞞ね…
多くの観客や読者、視聴者が、
「ドラえもんという作品は漫画やアニメであって、そういう世界の人間模様をシリアスに考えるのはナンセンスだよ!」
「ドラえもんは優しさの象徴で、ドラえもんシリーズは根っこがやさしい作品なんだ、いじめのような描写があってもそれは表面的なものだから問題じゃないよ」
とでも思ってるのか、
あるいはこういう欺瞞に気づかない鈍感さを持っているのか、
よく分かりません…
あと、最後にクソどうでも良いことだけど、キャラデザが微妙に筋肉質じゃね?
しずかちゃんも身体構造が分かるような、筋肉の節だったラインしてて少し気になりました