“ガールズ版ウエスト・サイド物語”を謳っている作品ですが、この『秘密のふたり』には“団地版ウエスト・サイド物語”の印象をより覚えました。【ナジュマとジーナ】には団地の屋上とSNSがあるので【マリアとトニー】のようにいつかどこか遠くに逃げなくていいんです。
屋上で愛を交わせばビルの狭間からしか見えないと思っていた空は遥かなるものに変化するし、団地から1歩も出ずとも果てしなく遠くに行けるのです。
傍からはそれは少しもロマンティックには映りませんが、ふたりにとってロマンティックな気分に浸りながらも他人からロマンティックに見えないことはとても重要なのかも知れません。
アルジェリア系移民のナジュマの母親は「私たちは自由を求めてアルジェリアを出てフランスに来たのに、あなた達は監視しあってる」という意味のことを言います。
団地を出て公園に行くことが大イベント。小さな可愛いベンチを奪られないよう殴り合う彼女達の世界。そこで生きるふたりがちゃちゃっと解決方法見つけることは全然哀しくなかったけど、とても寂しかったです。
良い映画