りょう

Pearl パールのりょうのレビュー・感想・評価

Pearl パール(2022年製作の映画)
3.6
 この作品を観ると、主人公であるパールのアイデンティティが少し理解できるので、やっぱり前作の「X エックス」を観たくなりました。
 舞台も登場人物も一緒ですが、60年前という時代設定もあって、前作から作風が変化しています。殺人鬼からのサバイブを描く展開ではないので、一般的なスラッシャー・ホラーを期待すると拍子抜けしてしまいます。映画業界をめぐる狂気という意味では、なぜか1962年の「何がジェーンに起こったか?」をイメージしました。
 パールには何らかの精神障害があるような印象です。それが先天的なものか母親などの抑圧によるものかわかりませんが、冒頭のガチョウとワニやトウモロコシ畑のカカシのくだりで鮮明です。
 彼女の境遇に同情しないわけではありませんが、凶行に至る理由が自分勝手で、物語の核心となる惨殺シーンにカタルシスがありません。ラストシーンの“笑顔のような”表情は、彼女が自分の特性(本性)や招いてしまった結果を自覚してのものかもしれません。
 「X エックス」までの60年間の彼女の人生がどんなものだったのかにも興味があります。3作目は1985年のマキシーンが主人公だし、そんな壮大な物語は期待していませんが、この2人を結びつける物語しだいでは、かなり秀逸な3部作になる可能性もあります。
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