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わが恐喝の人生のblacknessfallのレビュー・感想・評価

わが恐喝の人生(1963年製作の映画)
3.5
このタイトルで主演が梅宮辰夫さん、準主役が千葉真一さんなんで実録系のギラギラしたいつものやつかと思ったら違ったんだよな。

一介のボーイの梅宮さんが恐喝でギャングスターから実業家にまで成り上がり破滅していくまでを画く青春ノワール映画だった。

シャープさと陰影を強調したモノクロ映像がハリウッド初期のノワール映画の色調を彷彿とさせてなんともムーディー笑
そして、ゴダール的というか、ヌーベルバーグっぽいカット割りや編集を施してる。
特に大胆な省略で余韻やインパクトを喚起するとこにそれが強く出てた。
ハリウッドノワール調もヌーベルバーグ的な編集も意図的なんだよね。
だから本当に終始画面がスタイリッシュでかっこいいんだよ!
とても東映映画とは思えないんだよ笑

ギャングスター映画なんでバイオレンスもセックスもかなりあるんだけど、おれの知ってる東映みたいにズバンと露悪的に見せたりせず、淡くムーディーに見せる。

思ってたのと違ったんだけどこの映画、とってもおもしろく、また衝撃的だった。

先に言ったように東映離れしたスタイリッシュな映像と演出。それだけじゃなくて梅宮辰夫さんも千葉真一さんもすげぇ若い。
製作が1963年だから"仁義なき戦い"の10年前だから20代前半だね。
2人とも言われないと分からないぐらい仁義なき戦いの時と風貌が違うよ。
千葉さんは空手映画で見せる灰汁の強さはなく質実剛健な好青年にしか見えない。
梅宮さんに至っては本当にしゅっとして凛々しい美男子でまるで別人なんだよ!
仁義の頃みたく強面で肉厚でブクブクじゃなくてスマートで繊細で憂いすら漂ってんだよ笑 顔肉がないとこんなにかっこよかったのかと笑
2人とも仁義なき戦いの大友勝利、明石組の岩井の面影は微塵もないよ笑

ストーリーは梅宮辰夫さん版スカーフェイス、もしはグッドフェローズと言った感じ。
洒脱なジャズを劇伴に様々な恐喝を小気味良く仕掛けて梅宮さんの成り上がりを処理するシーンはまんまスコセッシのギャング映画のようだった!
そこに、梅宮さんの成り上がり志向に拒否感があった親友の千葉真一さんが警官になり、愛した女性を梅宮さんに破滅させられた恨みから梅宮さんの敵として立ちはだかる。二人の韓国映画的な泥臭い感情のぶつけ合い、殴り合いもあって意外と重層的で奥行きがある。

東映がこんなダサくもなく暑苦しくもない普通にかっこいいノワールを作ってたことに驚いた😂
日活だったら分かるんだけど笑
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