りょう

インスペクション ここで生きるのりょうのレビュー・感想・評価

3.4
 2005年という時代は、アメリカの安全保障、人種問題や性的多様性をめぐる背景として絶妙だと思いましたが、その設定から実話だったようです。
 アメリカの海兵隊の訓練の映像は、スタンリー・キューブリック監督の「フルメタル・ジャケット」をイメージさせます。鬼教官の存在やいじめられる新兵の射撃が好成績という既視感はありますが、ここが物語の主要な舞台なので、すごくまともな教官などもいて、登場人物も多彩です。
 いじめの理由が彼のセクシャリティでしかないので、かなり理不尽でしかありません(いじめはどれも理不尽ですが…)。それに屈しないフレンチの精神は、それまでの過酷な人生が背景にあると想像できますが、彼の過去は母親との確執なども含めて、映像として表現されていません。
 そこがちょっとわかりにくかったです。ただ、母親が息子を肯定できないという序盤からの展開は、彼女のエンディングのセリフも含めて、この物語の本質を辛辣に表現していた印象です。
 映像や物語にマッチしているのか微妙でしたが、少し奇抜な劇伴がなかなかよかったです。
りょう

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