このレビューはネタバレを含みます
観てよかったと思える映画だった。
教訓として受け止めるのはもちろんだけど、もし自分がパニックに陥って危険な判断をくだしそうになった時、止めてくれる人がいるだろうかと自身を振り返る。
人災ではあるけれど、決してたった1人の極悪人がいる訳ではない。皆、正義を持って差別し、暴力を振るうのだ。戒厳令のもと、過剰な自衛意識が蔓延し、何か本当に小さなきっかけで背中を押されてしまう。そしてこの「異常」には、1人では気づけない。鉈を振り下ろしたのは自分だったかもしれない。家族と折り重なるように屍となったのは自分だったかもしれない。
ドラマとして分かりやすくシナリオが組み立てられていたけど、実際の事件も決して遠いものではなかっただろう。
明るく楽しい映画じゃないけれど、人に勧めたくなる作品だった。