Finn

ロスト・キング 500年越しの運命のFinnのレビュー・感想・評価

3.8
イギリスの悪名高い王として有名なリチャード3世の遺体が、2012年にレスターの駐車場から発掘された実話を、発見に大きく貢献した主婦フィリッパの視点から描く作品。

実話ベースでありながら、フィリッパのイマジナリーとしてリチャード3世が現れて会話するというファンタジックな演出もあって面白かった!

私はレスター大学出身で、本作のラストでも描かれる埋葬のときも現地にいたので、すごく馴染みのあるというかよく知っているストーリーを映画として観るというのが不思議な感覚でした。
ちなみにセリフでチラッと触れられてるけど、埋葬の式典にはベネディクト・カンバーバッチも実際に来て詩を朗読しています。

主演のサリー・ホーキンスが素晴らしかった。普通の人を演じるのが上手すぎて、彼女が演じたからこそこの作品が映画として成立しているなと思った。
リチャード3世役のハリー・ロイド(ゲーム・オブ・スローンズのヴィセーリス役)も雰囲気出てて良い配役だったな。

世紀の大発見を描きつつ、コンプレックスを持った女性が嫌われ者の歴史上の人物にシンパシーを感じて信念を貫くという、面白い視点で描いているのが斬新だった。

実話ベースのフィクションかつフィリッパ視点なので、かなり脚色と時間経過の圧縮がある印象。あの場所に目星をつけてから発掘まで、実際には確か10年くらい掛かっていたはず。
でもこうやって作品として観ると、駐車場から王の骨が出てくるなんて、実話ベースとは思えないほど本当にミラクルな話だなぁと改めて感動した。

レスター大聖堂ではリチャード3世のお墓を見ることができるし、すぐ近くにはリチャード3世ビジネスセンター(資料館みたいなの)もできて歴史や発掘〜調査のあれこれを学べるので、イギリス史に興味のある方はぜひ!
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