アイルランドに住む物静かな少女コットは、大家族の中で浮いた存在。親戚夫婦の家で一夏を過ごすことになり、最初は戸惑うものの夫婦の愛情を受けて次第に居場所を見つけていく。
劇中のセリフはほぼ全てゲール語でとても新鮮だった。昔少しだけ習ったことあるけど、不思議と落ち着くんだよね。
アイルランドの美しくも少し哀愁を感じる田舎の風景と、ゲール語の響きを堪能できる暖かい作品です。
主人公コットは言葉で気持ちを伝えることが上手じゃないから、家でも学校でも「変な子」扱いされて孤立してしまっているのが胸が痛かった。
預かり先の家でも最初は上手くコミュニケーション取れないけど、夫婦が静かだけど暖かく見守って過ごしていくうちに、コットが少しずつ心を開いていく様子が伝わってきてウルウル。
奥さんのアイリンはずっとコットに優しく寄り添ってくれるんだけど、最初は素っ気なかった夫ショーンと一緒にいる時の方が実はコットがお喋りになったり、楽しそうに見えるのが個人的に胸熱だった。実のお父さんと上手くいってないのもあっての演出なのかな。
コットだけじゃなく、夫婦2人もコットと過ごす中で止まった時間が動き出していくのがとても感動的で、みんなにとって「はじまりの夏」になったんだなと思うと邦題がすごくしっくりきた。
ラストの疾走からのハグに泣いた。
あのラストの後、コットたちがどうなるのか…でもなんとなく、きっと3人で幸せに暮らすんじゃないかなって希望というか、信じたい。
台詞は最小限で静かだけど、キャストの素晴らしい表情や声のお芝居と、美しく切り取った風景がマッチして素敵だった。
心が暖まる作品です！
