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正欲のtsubame737のレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.0
つい、新垣結衣と星野源の夫婦生活を想像してしまった。新垣結衣の「セックスしてみたい」みたいなセリフだけで鑑賞料金の元が取れた

閑話休題。これまで普通の人に見える新垣結衣の演技はなかった思う。序盤は目が死んでるし、磯村勇斗に会えるとわかったときの表情は表情筋が死んでるオタクが友達見つけたときのそれだし、同窓会で磯村勇斗と話したそうにチラチラ見るのも欲しがっているオタクの感じだし。
また、鼻の穴が見えたり、影をつけたりなどの演出も彼女を美人に極力見せないための良い工夫になっていた。磯村勇斗との共同生活が始まる横浜編では照明が増えているからかもしれないが、彼女がいつもの彼女に近づく

中盤の新垣結衣と磯村勇斗が言葉少ない会話でわかり会えたシーンがあった。あの感覚とてもわかる。私も学生時代にSMつながりで彼女を作ったことがある。SNSでSMに興味があると投稿したことがきっかけだった。実際やってみるとプレイスタイルが違っていて、破局してしまったのだが

それはさておき、個人的には終盤が一番好き。新垣結衣が「普通のこと。何があっても(磯村勇斗と)一緒にいる」のようなセリフに稲垣吾郎が動揺する。その揺らぎは彼の「普通」の揺らぎだ。彼は小児犯罪者として磯村勇斗が刑事起訴されれば、「普通は」彼らが離婚になると考えていたし、彼自身が「普通」の家庭を築いたつもりなのに、離婚協議中になってしまったのだから。
ラストシーンはロングショットでドア越しに稲垣吾郎を見ながら、ドアが閉まる。「普通」の象徴としての彼を拒絶、否定する宣言のみたいだ
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