Adele

正欲のAdeleのレビュー・感想・評価

正欲(2023年製作の映画)
4.2
「いなくならないで」
「いなくならないから」

うぅ…!最後の言葉がブッ刺さった。
人が他者と生きていく、ってことについて最近考えてたことも相まって、ブワーっと頭の中に色んな感情や考えが押し寄せた。
「そばにいて」じゃなくて「いなくならないで」。ワードチョイスがさすが。
(「地球に留学してる」って表現も凄いと思った!)

感想を整理するのが難しいけど、人間の性質って普通か変態か(もしくはマジョリティかマイノリティか)二項対立じゃなくてグラデーションだと思うし、普通を「擬態」して社会生活送るのは誰だって多かれ少なかれやっていることだと思う。
「異性同士の結婚」みたいなスタンダードな選択をしたとしても、そこに至る感情や経緯は人それぞれなわけで。

キャスティングに関しては美人を感じさせないガッキーの演技良かった(目が死んでる感じとか)し、磯村くん本当に良かった!(私はあなたの背中フェチです、すみません。)

気になるとしたら、これは映画の尺に収めるための演出なんだろうけど、前半の「生きづれぇ」を表現するシークエンスに出てくる「普通の人々」がもはや(誇張し過ぎて)不自然だった。
寝具売り場に現れるあの妊婦とか、もはや頭おかし過ぎて暴力だよ。あいつ妖怪かなんかかな?
後半の「普通じゃない」主人公たちが社会で頑張って生きようとしている場面の方がよほど血肉が通ってて「普通」に見えた。
あの“ベッドシーン”で泣いた。





*追記(他の感想見てどうしても気になったので)

他の方の感想で、小児性愛者(かつ行動に移している人)と主人公たちの「人から理解されない性癖」を持つ人を一緒くたにして(どちらも「普通じゃない」人として)議論しているものが見受けられるけど、それは全くの別次元だと思う。
たとえどうしようもなく小児性愛の性癖があったとしても、それを行動に移したらそれは絶対に許されないことだし、誰かが傷つくことでしか成り立たない自己実現は絶対あってはいけない。

あと「水フェチ」って設定はあくまで一例であって、それ自体に関して何か伝えたいわけではないと思うんだ。
Adele

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