maverick

ウィッシュのmaverickのレビュー・感想・評価

ウィッシュ(2023年製作の映画)
4.3
ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年記念作品。本国アメリカでは2023年11月22日、日本では2023年12月15日に公開。同時上映は『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』。



ストーリーは非常にシンプルながらも、ディズニーらしいテーマで感動がある。夢を大事にすることを改めて気付かせてくれる心に響く物語だ。

100周年記念作ということで必然的にハードルも上がるが、作品そのもののクオリティを求める人には物足りなさは感じると思う。95分という尺の短さと、脚本の薄さは正直言って味気ない。記念作として、超大作を期待した人にはがっかりだろう。ただこれは、親しみやすさと単純明快さに振り切り、作品性の敷居を低くする意図があったのではないかなと推測する。近年のディズニー映画は小難しくなりすぎた感があり、それを見直して本来の子供向けの部分を重視したと。そう考えると合点がいく。ディズニーらしい王道さはありながらも非常にシンプル。そして主人公のアーシャも、マスコットキャラのスターも現代的。今の子供に向けてというのを強く意識している作品性である。もちろん完全に子供向けでもなく、「夢を大切に」という部分はシンプルに大人にも響く。シンプルであるがゆえに良いと。それが本作の持ち味だと感じた。

100周年記念を祝う意図として、本作には過去作への数々のオマージュが散りばめられている。その数は100以上だとか。すぐに気付くものもあれば、何度も見直してようやく発見出来るものもある。見つけてやるぞと意気込んで鑑賞したものの、自分はわずかしか見つけられなかった。ディズニーマニアを試される作品でもある。たくさん見つけれる人を尊敬しちゃうな。

マスコットキャラのスターがめちゃくちゃ可愛い。デザインがディズニーっぽくなくてそこがびっくりだったが、顔はミッキーがモチーフになっていると聞いて「なるほどな」と思った。だからあんなに表情が愛らしいのか。同じくマスコットキャラのヤギのバレンティノも可愛い。イケボなのが笑える。主人公のアーシャは作品のヒロインとしては全然有りなんだけど、歴代の主人公の中では印象薄いほう。本作のヴィランは悪役らしい悪役で好き。ただストーリーとしては、このヴィランにも救いがあると良かったかな。シンプルさを打ち出したあまり、このキャラにも深みがなかった。鑑賞は吹き替えではないオリジナル版だったけど、ヴィラン役の人の演技がハマっていたのはとても良かった。吹き替え版だと、過去のディズニー作品で主要キャストを演じた人が大合唱で参加しているんだよね。記念作だからこその豪華さ。吹き替え版でもう一度鑑賞しなきゃだな。


ストーリーの薄さが酷評に繋がっているけど、お祭り的に楽しむ作品としては全然有り。エンドロールが一番感動した。それにしても『白雪姫』『シンデレラ』『美女と野獣』『アラジン』『ライオンキング』など、作品としてもキャラクターとしても人気が確立されているレジェンドたちはやっぱり違うなとは感じた。過去の作品がほとんどだけど、最近では『アナと雪の女王』もそうかな。世代を越えて愛され続ける作品とキャラクターを、これからもディズニーには生み出してもらいたい。100周年先のディズニーにも期待しよう。
maverick

maverick