2023_106 ❶❷
いつかあなたと見た太陽
永遠に忘れたくない
厳しい映画でした。一見爽やかな父と娘のひと夏のバカンス映画なのですが、その裏に込められているメッセージが強く、重い。
セリフで語られることがほぼないのでどう捉えるかでかなり感じるものが違うと思いますが、個人的には胸が張り裂けそうになりました。全部が悲しみへのプレリュードの様で、涙を流すことすら許されない、なんとも切ない映画でした。
どんな感想を持つか、本当に人それぞれになる作品だと思うので、たくさんのレビューを拝読したいと思います。
静かでドラマチックではない、しかし多くを語る様な映画が好きな方にオススメします！
【ネタバレ含む印象的なシーン】
若者にビリヤード勝負に誘われた時、「妹、上手いな」と言われて「娘なんだ」のやり取り。普通なら若く見られて嬉しいはずが、その反応は悲しげ。こういった部分に若い父親の苦悩が見える。
またパラセーリングで空を飛んでいる人々が何度かインサートされる。これは自由への憧れの暗喩だろうか。
ドリンクなどがフリーになるラバーバンド。ソフィーはどういう思いで受け取ったのだろうか。少し自慢げにファンタレモンを注文する姿が可愛らしかった。
三度のキスシーン。それぞれ性別や年齢の組み合わせが異なる。深い読み解きができるとても上手い演出と感じた。
ラストシーンは扉の向こう。劇中何度かインサートされる大人になったソフィーが妄想か夢の中で父と再会するクラブの様な場所に見えた。つまり父は…。
ビデオテープによる記録と再生。永遠に続くバカンスなどない。
