海風

aftersun/アフターサンの海風のレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.1
【ネタバレある!!!】

映画館でひとりしっぽりと浸りたくて行ってきました。

不穏な空気感とソフィの愛おしい笑顔はゾクっとした。ああ、なにか起こる予兆だな、と。

映像としては、余白の使い方がピカイチですね。ソフィアコッポラ監督の「Somewhere」を思い出しました。子どものワンピの華やかさ、余白と何気ない日々という部分では似てる部分があるね。あの作品もゆったりと日々を感じるような映画だったけど、これには負ける。
断片的に覚えている記憶だけを集めているような映し方、さすがでした。説明しない余白の含みは女性的だったな〜。(女性的ではあるけど、わりとその余白以外の部分をはっきり見せてくる分かりやすい作品ではあった。)

肌の質感、太陽の眩しい輝きがキラキラと映り込む海、ソフィのぷるんとした桃色の唇。いいね。
私のインスタのアカウント名にもなっている「life is like the ocean(人生は海のようだ)」海の波は、激しく荒波で荒れ狂う時もあればさざなみのような緩やかな波の時もある。彼はそんな揺れ動く波の中で必死に生きてたね。

きっとソフィは自分を責めたんだろうなぁ。
なんであの時気付かなかったんだろう、と。
それがアフターサン(日焼け後に塗るクリーム)として、癒えることなくキズとしてピリピリと余韻が'遺っている'んだろうな。

トルコの絨毯、ソフィの家にあったね。
忘れられない忘れたくない父親との記憶。
愛おしかった空間、取り戻せないからこそそのピリピリとした余韻もパパとして受け入れる。んだろうな、と思いました。

This is our last dance.
海風

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