観る側の育った環境や今置かれてる状況、性別、年齢で印象のかわる映画だなと思った。今の自分には相当刺さる内容で、特に終盤で出てくる親子の船上(だったかな?)の短いやり取りが一生心に残るぐらいのインパクトだった。
画面に充満する不穏な空気、もうまさに事件が起こる予感の連続、そして観る側に想像させる余白の多さが本作の特徴で、それらをありえないぐらい緻密にコントロールした画作りがすごいなと思った。トイレのシーン、髪を結いながらひと夏の経験を語り合う少女たちと手を洗うソフィーの合間を縫うようにキャミソールの女の子の胸だけが一瞬画面にうつりこむ。ピントすらあってないのに、それが娘の成長を予感させる嫌~な雰囲気をかもしだす。
娘が14歳とかならまだわかるけど11歳をど真ん中に据えてこれを撮るのは胆力としかいいようがない。ありきたりなティーンズ映画じゃない、かといって映画が自由奔放だった時代のもはや再評価もできないようなロリータ作とも違う。今の映画って感じ。すごかった。
ただ観終わったあとほんとにぐったりして全然楽しい気持ちにはなれず、4点以上はつけれなかった。すごいはすごい。口癖のようで申し訳ないけど観る人選ぶね!終盤で流れる御大2組のコラボ曲はほぼあらすじそのもの。
クラブがハメを外す場所とかドラッグの象徴(でもあるんだけど)ではなく、孤独な魂の拠り所して描かれているのもテクノシーンで育った自分にはフィットした。