りっく

aftersun/アフターサンのりっくのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
4.2
ひと夏のバカンスを過ごす娘と父親。そのひとときを当時の父親と同じ年齢となった現在から振り返る、いまや母親となった娘。ビデオカメラを巻き戻しするという行為自体がノスタルジックであり、そのテープが巻き戻される機械音とともに記憶という主観的で断片的なものから物語を再構成してみせる。

その物語は当時の娘にとっては楽しい夏休みの思い出である一方で、父親はどこか陰鬱で虚無感を身にまとう。その瞬間をふとした表情や背中でさりげなく切り取ってみせる。拓かれた未来へ向かって生きる娘と、死へと向かっていく父親が交差する様を、同一画面に収まりながらも分割しているような印象的な撮り方で見事に表してみせる。
りっく

りっく