りょう

aftersun/アフターサンのりょうのレビュー・感想・評価

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)
3.8
 最初に観たときは、31歳の父親と11歳の娘のひと夏のバカンスをとりとめもなく描いた作品という印象でした。
 ただ、なんとなく謎めいた映像が引っかかっていたので、もう1回だけ観てみました。父親は何かに悩んでいるようだし、ところどころで言動に違和感がありますが、それがはっきりしません。中盤あたりで、歯磨きのアワを洗面所の鏡に吹きかけるところが“エッ?”てなるし、娘宛ての絵ハガキを傍らに号泣する後姿も印象的です。
 当時の娘はとても健気ですが、大人になって回想する父親が…、というところまでは理解しましたが、なんとなく“奥深い”ということしかわかりませんでした。自分の境遇からすると、28歳のときに生まれた娘がいて、平凡な父親の立場で観てしまったので、彼女の視点の描写に共感できるところが少なかったのかもしれません。
 それでも、エンディングで父親が娘を見送るシーンは、自分の過去とシンクロして切なくなりました。単身赴任先に小学生だった娘が遊びにきて、地元に帰ってしまったときの感情がよみがえります。このシーンのビデオカメラのトリックは秀逸でした。おそらく監督が意図したようなことまでは理解できていませんが、娘のソフィが可愛くて、ずっと彼女の表情と仕草を観ていたくなる作品です。
 ちなみに、あらすじでは「20年後、カラムと同じ年齢になったソフィは…」ってありますが、大人になった彼女の年齢がわかるシーンってありましたっけ?
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