陽子

彼方の閃光の陽子のレビュー・感想・評価

彼方の閃光(2022年製作の映画)
4.0
沖縄題材にしてて、眞栄田郷敦好きってことで見に行きました。私、沖縄の人。
チケット係の人が、「最初真っ黒が続きますがそういう映画です」と言われて?となったが、なるほど。色彩のない世界に生きる主人公のゴードン。
モノクロの世界に生きながら、ひかりという名前。

とてもアート的な作品で、戦争をどう思うかというシンプルで大きな問いをテーマに、東松照明のカメラマンの生きざまとリンクしてたどるような、長崎、沖縄など、どのシーンも、写真のように人物を切り取る白黒の世界が美しかった。こういう映画に出てくれる郷敦や、俳優さんステキ、ありがとう。

池内さん演じる友部はインパクト大で、こんな人たまにいる。しかしいったい何なのだろう。何かのメタファーか。
矛盾していて粗野で饒舌で裏切るのに、人を惹きつける魅力がある。
彼は国家なのかもしれない。
そして、沖縄で出会う尚玄さん演じる糸洲は、沖縄そのもの。
友部と糸洲は相容れない。
まるで、国と沖縄のように。
ゴードン光は、はさまれながらも一人の個人として澄んだ目で世界を見て吸収している。

今をときめく沖縄の女性ラッパーAwitchが、ちゃんと役者しててビビった。
彼女は慈愛あふれるマリアさまのよう。
きわどいエロいシーンにも驚いた。
ゴードンも。美しい女の子のよう。
え、いきなりBL⁉︎

国家に翻弄される2人。
でも何か理屈をこねくりまわしても、戦争はダメなものはダメなんだ。
まさにそういうことなんだ。

けっこう長い作品で、途中トイレ行きたくなったのはヤバかった。

ネタバレだけど、
最後のシーンで色を取り戻す、沖縄の青い海に泣けた。
この世界は美しいんだ。
加藤雅也さん最後に出てきてステキ。似てる。
陽子

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