みむさん

ほの蒼き瞳のみむさんのレビュー・感想・評価

ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)
5.0
スコット・クーパー監督 x クリスチャン・ベイル主演で製作決定時から楽しみにしてたので、原作はすでに読んでいて当然結末も知っていたが面白かった。極上だった。そして豪華キャスト。

孤独な二人の男の哀しき物語。だからスコット・クーパーがなんとしても監督脚本でクリスチャン・ベイル主演でやりたかったんだろう。
ラストは泣いたよ😭😭😭😭
ミステリー、サスペンス要素はもちろん重要だが、それがメインではないようにすら思う。

死体から心臓がまさぐり取られている。神への冒涜か、凶悪犯か愉快犯か。それを捜査するベテラン探偵ランドーと士官学校にいまいちなじめないポー。
この二人がいいんだよね。
ランドーになつくポー。ポーが憧れと尊敬の念を包み隠さずさらけ出して、教えを乞いながら一緒に捜査。彼の過去も不遇で、幼くして孤児になり士官学校でもいじめられ。だからランドーが自分を肯定して認めてくれるのが嬉しかったんだろう、だから捜査中生き生きしてたんだろう、それが見てとれるハリー・メリングの演技。
彼ほんとイイ役をゲットしたなぁ。

ランドーも想像を絶する傷を負っていて、世捨て人になる寸前みたいな時に捜査の仕事が舞い込む。

運命的に交錯する二人が迎える結末、事件の真相。

ミステリー・サスペンスとして手堅く王道的、二段オチっぽいところも良い。
事件後みんな必死に生きていたり思いを遂げようとしたりなんだが誰も幸せにならないじゃないか……
悲しすぎる物語。

原作でストーリーはわかっていても、そのストーリーにクリスチャン・ベイルとハリー・メリングの素晴らしい演技が乗っかって感情を揺さぶるとても良いドラマになっていた。

エドガー・アラン・ポーは実際に1930年代にウェストポイント陸軍士官学校の士官候補生だったので、その点は史実だが、ほかは原作者ベイヤードによる創作。
心臓を取り出された死体から始まり、心臓がキーになりながら展開するミステリーは、おそらくエドガー・アラン・ポーの短編「告げ口心臓(The Tell-Tale Heart)」への目配せかオマージュだろうし、劇中にも出てきてタイトルにもなってる「ほの蒼き瞳( The Pale Blue Eye)」はその短編に出てくるフレーズ(短編に登場する老人の目を表現したフレーズ)からも来てるだろうな。

監督は約10年前から映画化の思いがあったといい、原作にほぼ忠実、世界観完璧、こう描いてくれたらいいな…がすべて詰まっていた。
過去2つのコラボ同様、当初からクリスチャン・ベイル主演を念頭に置き脚本を書いたとのこと。

それにしても、スコット・クーパーはクリスチャン・ベイルをどういう映画でどう撮ったら一番魅力的か分かってるよね……さすが仲良し。私を含むベイルファンから絶大な信頼得てると思う。

あと、クリスチャン・ベイル、シャルロット・ゲンズブール初共演。これ嬉しい。
(二人とも「アイム・ノット・ゼア」に出てたけどゲンズブールは確かヒース・レジャーのパートに出演してたからクリスチャン・ベイルと共演はしてなかったよね)

撮影監督は今回もマサノブ・タカヤナギさんでした👏👏👏音楽はハワード・ショア。

再見すると、一つ一つの表情挙動が全く違うふうに見えてくるし、細か~い演技に違う意味が見えてくるのでオススメ。

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