やった! レビュー一番乗りだ! Filmarks参加以来初めてのこと。
大学の映画研究部の後輩である安田真奈監督の最新作品。
本日新宿ケイズシネマで鑑賞してきました。
昨日から公開で、昨日も今日も満員札止めでしたよ。
舞台挨拶は初日だけだと思っていたら、今日もありました。予想していなかったので、かなり嬉しかった。
安田監督と出演者の翔さん、佐藤鯨さん。
本作は「映画24区」による「ぼくらのレシピ図鑑シリーズ」の3作目。
1作目も安田監督作品で、「36.8℃ サンジュウロクドハチブ」。
2作目はなんと池田エライザの初監督作品となった「夏、至るころ」。
最近は「ご当地映画」が非常に多いのですが、このシリーズもそう。
富士吉田市を舞台にした作品で、今年の3月18日に山梨放送で放映。
ちょうどその直前に、「あした、授業参観いくから。」が柏のキネ旬シアターでかかっていて、舞台挨拶に来た安田監督と話してて、それを教えてもらい、「年内には劇場公開もしますから」とのことだったので、楽しみにしておりました。
内容には触れませんが、本作が恐らく映画史上初めて成し遂げた偉業についてだけ言及しておきます。
登場人物が電話しているシーンて、現実と違い映画では、いちいち相手の言葉をオウム返しするじゃないですか?
「何? 怪獣が東京湾に現れたって?!」みたいに。
「シン・ウルトラマン」では、原作オマージュということで、わざと大袈裟にやってました。
あれって、気になりますよね?
「そんな人、おらんやろ」って。
これまでの映画史ではこれを主に3つの方法で解消してきました。
① 相手の声もオフで聴こえるように演出。
② スプリットスクリーンで話している二人ともがスクリーンに映る。
③ スピーカーフォンに切り替える。
「ほかの登場人物にも相手の声が聞こえる」は③しかないのですが、これだと、「別の人物がたまたま会話を聞いてしまう」という演出はできません。だって、スピーカーフォンに切り替えるのって、話者が意図的に人に聞かせるためだからね。
本作では、映画史上初めてこの問題を解消しています。
それは筒井真理子さん演じる「千鶴さん」。
序盤から人と話す時にめちゃくちゃオウム返しする人物って設定なんですよね。
片岡千之助くんと的場浩司さんの、「あの人、めちゃくちゃリピートしてきますね」「千『鶴』さんなのにオウム返し」みたいな会話もありました。
観てると、「何か不思議な、面白い人」というだけのキャラ造形なのかと思いました。
ところが、これが発明だった。
後に主人公が偶然電話を立ち聞きしてしまう。はい、ここでこのキャラ造形が引き立ちます。
オウム返しする人なんで、相手の言葉も全部筒抜けになるんです。
ほんとは不自然なんだけど、普段から「そういう人」だから仕方がない(笑)。
筒井さん、巧い! と思いました。
いや、アイデア自体は安田監督の脚本なんだけれど、これって演じるの凄く難しいですよ。
舞台挨拶の後、ロビーで安田監督と少し話せたので、まずはそれを指摘しました。
監督もやはり言ってました。
「そうなんですよ。あれ、演じ方によるとただの段取りになっちゃうんです。筒井さんは見事でした」
同感です!
そんなわけで、映画史上初めての発明に対して満点を献上させていただきます。