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あしたの少女のIPPOのレビュー・感想・評価

あしたの少女(2022年製作の映画)
3.7
見応えありました。

韓国の商業・工業高校には卒業前に「研修」という名目で一般企業に就業するシステムがあるようだ。インターンとは異なり給与も発生する…が……実態は単なる「世間知らずの高校生からの労働力搾取」。

高校で彼らが学んできた専門分野から逸脱した派遣先で薄給の末端労働を強いられる。疲弊した子どもたちに対してのケアは薄く、むしろ生徒が研修先を辞めること=学校の評価を落とすこと=今後国からの補助金枠が減ること となる模様。企業側も「出来の悪い生徒を派遣されてむしろ迷惑をかけられた」と主張する始末。


半人前が一丁前の給料を貰おうとは100年早い!
という思想は日本にもあるが…本作ではそんな理屈を凌駕する杜撰で誰しもが責任逃れを平然と行う驚きの韓国社会の側面を炙り出している。

韓国映画のクオリティの高さは昨今世界中から注目を浴びている。そんな中本作が世に放たれることは、韓国の恥部を世界に晒すこと。

良い見せしめになりますな…。

本作は『ベイビーブローカー』が沸いたカンヌ映画祭の同回の裏、ある視点部門に出品され注目を集めていたそう。奇しくもペ・ドゥナは両作に出演していたことで世界から再注目を集めました。

誰かが死なないと、マスコミが騒がないと、何も変わらない国、韓国。政治家も警察も真摯に向き合わない国、韓国。生きづらそうだなぁ…と毎回ただただ思うばかり。
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