これは大作だった。
上映時間も140分と長いんだけど、主演のエルザ・ジルベルスタインの迫力しかり、見応えのある作品だった。
フランスの政治家シモーヌ・ヴェイユ。
劇中思わずメモしたくなるような台詞が幾つも出て来た。ラストシーンに夢中で気がついたら全部忘れていたけど、後悔はなし。
回顧録を執筆するシモーヌと過去の記憶が交差する。
強制収容所、死の行進のシーンは本当にキツい。生き残った体験を胸に法律家として実際の行動にうつし偉業を成し遂げ、フランスで一番愛される政治家となったのがその後の人生だ。
回顧録を書くシモーヌは本当に穏やか。記憶はどんどん遠い過去へ戻って行く。
カメラが亡霊のように家族の間を彷徨う。再び収容所跡を訪ねるシーンは圧巻だ。
昔に帰って行くほど思い出の強度は増すようで、彼女の核がそこにあった。
よみがえる父と母、姉や兄との子供時代の思い出は、とても色鮮やかで幸せそのもので、きれいだった。