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ゴジラ-1.0のnileのレビュー・感想・評価

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
1.8
もはや役者の演技や全体の演出についてゴチャゴチャ言うのは面倒くさいので言わないが、今作のテーマについてははっきりと言っておきたい。戦後間もない時代で、あれだけ戦争で辛い思いをしてハカセが「これは死ぬための戦いではなく、未来を生きるための戦いなんだ」とかっこよく言い放ったにも関わらず、主人公は「俺の戦争はまだ終わってない」と抜かし愛する者がいるにも関わらず特攻で死のうとするわ、敗戦国の末路を嘆いていた佐々木蔵之介が演じていた船長が「俺達は生き残っちまった」と言ってしまうのはいい加減にしろと言いたい。戦争で犠牲になるのはいつだって罪のない市民達で、現実の世界でも2つの大きな戦争が起きている中で「お前はどっちの味方なんだ」という問にはどちらかではなく犠牲者や被害者達の味方なんだと下らない二元論を否定しなければいけないし、ましてやそうした戦争そのものを美化することなんてあってはならない。にも関わらず今作のような大和魂的な言動が散見されるのは実際に戦後の日本がそういう価値観に基づく時代だったとしてもフィクションの中では否定しなければいけなかっただろうと思う。
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