是枝演出は今までにないぐらい完璧じゃないか。
顔を見せない演出をいつもより多用している。
普段の是枝脚本だったら、セリフなしで状況とアップの表情を見せて心情を表現する。でも坂元裕二の脚本はセリフが強い。セリフの強いところは躍動感持って撮らないと良さを殺してしまうが、やり過ぎるとセリフのないシーンが説明過剰になりかねない。だからセリフのないシーンは敢えて表情を見せず、観客の想像に任せる。この塩梅というかバランス感は凄いところ。
特に序盤、病院帰りの長回しは躍動感があって非常に良かった。安藤サクラの品のあるキレ方も絶品。
ただ脚本をよくよく考えると、この物語の出発点は火事ではなく「頭を撫でる」シーンであって、出発点とラスト、テーマと展開は噛み合っていないように思う。これってこういう話なんだっけ？
