ヒロオさん

怪物のヒロオさんのレビュー・感想・評価

怪物(2023年製作の映画)
4.0
小学生の男児の異変をめぐる真実が、親、教師、本人の3つの視点から明らかになっていく話。

ネタバレになってしまうので言えないことが多いが、鑑賞後の夫の第一声が「悪趣味」であるのも同意w
可愛い少年にこの役を割り当てた大人達はひどくあざとい…

ということで鑑賞後は微妙な気持ちになったが、後々振り返ると本当に細かく伏線を散りばめており、映画としての出来は非常に高い。

『羅生門』みたく視点を切り替えることで、どれが真実か?怪物は誰か?と投げかけるミステリー的な語りが面白く、あっという間に観終わってしまった。

しかもそのままミステリーで終わるのかと思いきや、最終的に明らかになる真相が社会派なテーマを含んでいるあたりが是枝監督らしい。

本作を通して思ったのは、人間は自分の憶測や思い込み、偏見によって知らず知らずのうちに事実を歪めてしまう生き物であるということ。
大人だけでなく子供もそうなのだろう。

特定の誰かがおかしいというよりも、そのような穿った認識のかけ違いが集合したとき、1人の力では太刀打ちできないような「怪物」が生まれるのではないかと思った。
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