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破局のtakのレビュー・感想・評価

破局(1961年製作の映画)
3.5
フランスのマルチアーティスト、ピエール・エテックス。僕はよく知らなかったが、コメディアンとしてだけでなく、グラフィックデザイナーなど様々な才能を発揮した人物。近頃、往年のフィルムが修復されて、日本でもレトロスペクティヴが催され、本邦初公開作品もあったとか。ジャック・タチともつながりがあると聞き、興味があった。「ルアーブルの靴みがき」でお医者さん演じてた方なのか。

本作は12分の短編で一切台詞はない。別れの手紙を書くために悪戦苦闘する男の姿を追うだけの映画だ。ペン先、インク壺など文具に弄ばれているようなギャグの応酬はクスクス笑えるのだが、これが次々に繰り出されるから、ずーっと面白い。

物事がうまくいかない時って、次々に失敗をやらかす。切手のギャグなんて、実際やらかしても不思議じゃない。手紙一枚のために部屋が散らかっていく様子が面白い。「ミラクルワールド ブッシュマン」のクライマックスで、ド緊張した動物学者の男性が告白する場面を思い出した。彼女から送られてきた、破った写真を送りつける別れの手紙。これに復讐してやろうとする動機から、女性の目線に気づかない鈍感さまで、多くの方が共感できる小市民の笑い。

車の間を縫うように歩き回るオープニングから、なんかワクワクさせられた。そしてこっちまで声をあげてしまいそうなラストシーン!🤣
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