ミシンそば

ふまじめ通信のミシンそばのレビュー・感想・評価

ふまじめ通信(2023年製作の映画)
4.8
観始めてまず真っ先に思ったのは、今年の七月に観たマルティン・シュリーク監督のスロバキア映画「私の好きなモノすべて」に近い作品なんかなってところ。
掌編を繋ぎ合わせて一本の長編映画にしつつも、ちゃんと繋がっていて単なるオムニバスと言ってしまうにはやや勿体ない、そんな感じの、自分が好きな優しさと緩さと自分への許しが詰まった好きになれる映画でした。

まず、描写したら確実に辛い感じになりランタイムも圧迫するであろう、あらすじの主人公がストレスで心に変調を来す部分はバッサリカット。
音声ブログ「ふまじめ通信」を始めるきっかけとかもカット。
それでいいんだよマジで。つらい部分とかONE PIECEレベルの強烈なカウンターがない限りは観たくないわ。
描くのは田舎での緩いスローライフと、周囲が思ったより繋がって廻っているって普遍的な人の営みである。
明らかに路地一つとっても「あぁ和歌山だ」って思えるくらい田舎の情景は撮り方の良さもあるのだろうが、すごく和歌山を感じられる仕上がりでした。

油断していましたが、今年ベスト級に心の隙間を埋めてくれた作品でした。
クニちゃんとその友人二人、それから周囲のその後とかも気になるから、作らない方が作品の雰囲気的にはいいとは思いつつも、続編を少しだけ期待してしまうくらいには。

ニンニクたっぷりの餃子とみかんジャム、それからフルーツ牛乳、どれも美味そうだった(ゆでたまごも入れるべきなんだろうけど自分は嫌いでね…)