このレビューはネタバレを含みます
予告も宣伝もなく、ストーリーやビジュアルの公開もなし。パンフの発売まで後日と云う異例中の異例の形で公開された宮﨑駿の新作。
いつの間にか名前まで「宮﨑」に変わっておりました。
礼儀正しく見えるも「子供らしさ」を欠いた少年は、自身のトラウマと向き合うことで精気を取り戻し、やがて生き甲斐を学ぶ。
奇妙な鳥ばかりの世界では、胸の奥に押し殺していた感情が解放される。愛した男は姉に奪われた挙句、その子供まで連れて戻ってきた。幼い姿の母はまるでアリスのようで、無償の愛で抱き締めてくれた。
『風立ちぬ』は大人になってからの駿で、本作は大人になるまでの駿を投影しているのではなかろうか。
ラスト、無事に生まれた弟ら家族と一緒の姿は描かずに、少年は「大きなカバン(リュック)に大切な本などを詰め込み」部屋を後にする。
友人となるアオサギとは、やはり大塚康生らのことだろうか。
自分はこう生きた。
君は?
宮﨑駿らしい問いかけにおもえ、不思議な感動を覚えた。