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極限境界線 救出までの18日間のmaverickのレビュー・感想・評価

4.1
2023年の韓国映画。ファン・ジョンミンとヒョンビンの初共演作。2007年にアフガニスタンで発生した韓国人23人の拉致事件を描く社会派サスペンスドラマ。


ヨルダンで撮影を行うなど、その熱量に驚かされる。事実を基にした社会派な作風。それでいて映画としてのエンタメ性も追及してあるのはさすがだ。ファン・ジョンミンとヒョンビンという韓国を代表する二大スターの共演は話題性十分。このレベルで映画を作れることがうらやましい。

こうした事実があったということを広く知らしめることに意義がある。事件はなぜ起きたのかという背景が重要だし、問題点について考えさせられる。人質解放の奮闘劇は熱く感動的だが、美談で終わらせてはいけない話でもある。『モガディシュ 脱出までの14日間』と比べてこちらは感動の度合いが薄いが、あえてそうなのだと思える。事実を基に、なるべくフラットに描く。それが監督の狙いなのではないかなと感じた。

ファン・ジョンミンが情に熱い外交官を。ヒョンビンが過去を引きずる国家情報院要員を演じる。お互いに立場が違うので衝突もする。だが人質を無事に救出したいという点においては熱量が同じ。正しいことのために真っすぐになれる姿勢に感嘆する。役柄としてそれぞれに魅力は十分。作品を牽引する力強さは、さすがの一言だ。


感動の人間ドラマとして描き切れない以上、やはりそこが物足りなくはあった。コミカルにも描けないしね。韓国映画らしさに欠ける印象で、そこが自分としてはイマイチだった。でもこうした作品を作れることがまず凄い。事実を知ることも出来たし、鑑賞して良かった。こういう映画を今後もコンスタントに製作するのだとしたら楽しみだ。
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