【教訓】
ロシアのウクライナ侵攻を受け、フィンランドとスウェーデンがNATO加盟を申請した。
これに対し、一定の制限は付けたもののノルウェーは1949年の発足当初からのNATOの原加盟国だった。
ナルヴィクを巡る戦いの教訓は大きかったに違いない。
中立など意に介さないナチス。従わなければ敵だ。
一方、自由陣営のために協力しろと迫る英仏。
何らかの要衝を抱える限り実質的な中立などあり得なかったのだ。その要衝がナルヴィクだったのだ。
イングリッドは翻弄されるノルウェーそのものだ。
常に迫られる選択。
この作品に描かれたように、ノルウェーと英仏は一度はナチスに勝利したものの、ナチスが電撃的にフランスを占領したことによって、英仏はスカンジナビアからヨーロッパ本土に重点を置くためにナルヴィクを放棄せざるを得なくなってしまう。
そして、ナルヴィクは再びナチスの手に落ちる。
フランスもナチスに協力するものが出て、戦後、レジスタンスとしてナチスと戦ったものとの融和に非常に時間も労力も費やした。
このようなことは、ナルヴィクでもフランスでも、ヨーロッパのあちこちで似たようなことがあったに違いないのだ。
都合の良い自由などないのだ。
死ぬか生きるかの選択を迫られることもある。
傍観することが許されるような自由もないのだ。
自由には一定の対価が求められるのかもしれない。
大変申し訳ないが、歴史的背景を知ろうというモチベーションの低い人には当然だが、自由とは何か、中立とはどういうことなのかなど考えられない人には面白くない作品なのだと思う。