アンダーカレントのaoiのネタバレレビュー・内容・結末

今泉監督作はいつも想像の余地を、余白を残してくれる。登場人物の心情や情景をより強く表してくれる細野晴臣のアンビエントな音楽も、カメラワークや水の流れが美しい映像も、豪華なキャストによる演技もみんな良い。井浦新の慈しみに満ちた表情、仕草、声色がなにより素晴らしかった。本心を明かさないための嘘も、相手が望む自分を演じるための嘘も、ただただ保身のための嘘も、それらがどうしようも回らなくなって全部投げ出して逃げてしまう気持ちも、みんな身に沁みてわかる。没入していたら、あっという間にエンドロールを迎えた。しばらく余韻から抜け出せず、ひたすらにぽうっとしていた。轟々と溢れそうだったかと思えば、鑑賞後はとても澄んで凪いでいた心。胡散臭いおじさんに変なネクタイは定石。