12年ごとに進んでいく物語のなかで袖をかすめるような巡り合わせはあれど、それぞれの時間軸で生きている人間たちはなかなか出会うことができない。若さゆえの選択を経て、空白の12年の間に過ぎ去った取り戻せない時間、経験は自分自身にも重ね合わせて不安が押し寄せてくる。
君たち家族が望んでいた未来はこれでよかった？哀しそうに問いかけるユダヤ人の夫もとても切なくて、バーでいないものとして扱われる不憫な演出も結構辛かった。移民問題についても触れられていて、複雑に揺らぐ夫婦の関係性が切ない。とにかく、優しくていい人であり続けることで哀しみが浮き彫りになっていたような気がする。
あのころのままの自分を見つめてくれる初恋相手との心地よい時間を重ね、流れついた先の現在が果たして運命だったのか、どれだけ後悔しても元に戻ることのできない摂理に苦悩しながら現実に帰ってゆくラストシーンがとてもよかった。
会話を減らして、情景に余白を持たせたビフォアシリーズ。
