ゆず

パスト ライブス/再会のゆずのレビュー・感想・評価

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)
5.0
「いつこっちに来るの?」
「なんで僕がアメリカに?」

ソウルに暮らす12歳の少女と少年は互いに淡い恋心を抱いていたが、少女の家族がアメリカに移住することになり離ればなれになってしまう。
12年後、それぞれの道を歩んでいた二人は、ネット上で再会を果たす。二人はすぐにかつての親密さを取り戻し、幸福な時間を共有するが…。

どうしても「もしもあの時こうだったら…」を考えずにはいられない。あるいは、今からでも遅くはない…とか…。愛は時間も距離も超えるのだ…とか。
そういった映画的可能性を物語の奥に隠しながら、二人は現実的な決断を選ぶ。その姿が気高くも切ない。
リチャード・リンクレイターの「ビフォア三部作」を思い出す内容だった。(じつは3作目は未見だけど…)

韓国とアメリカ。移住がもたらす精神的断絶も描いていると思う。
ノラがヘソンを「韓国的」と何度も評するところは思わず笑ってしまったが、ノラにとっては決定的な違和感なのだろう。片方はずっと韓国で育ってきた男性。もう片方は多感な10代をアメリカで過ごした女性。
それは別に悪いことではないのだけれど、もう取り戻せないほどに時間が経っていて…。人生は不可逆で、取り戻せないことに泣くのだ、きっと。

サントラが美しく、好みの音楽だった。

「いつソウルに来られる?」
「なんで私がソウルに?」
ゆず

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