演劇的なもの、女性的なもの、そしてそれを超越する幽玄たる全て。
前半のインタビューは含蓄あるに余りあり、ただ杉村春子らの話は正直言ってもっと深掘りして聞きたかった。
客体としての女性の話は興味深い。
女による女と男による女、似て非なるものでありながら、どこか共通するものもあり、それでいて後者が凌駕することもあるその不思議。
本当に無駄遣いになりかねない勿体無いほどの杉村春子。
女性的なアプローチとしての『晩菊』の引用。あの杉村春子は特筆すべきオーラを纏っていて、また観たくなるじゃないか。なるほど、非常にエポックメイキングな一本なのだ。
ただインタビューを受ける当の本人が既にあり得ないほどの色気を纏い、美しかった。
それらを踏まえてのフィクションパートは素人目にも坂東玉三郎の美しさが圧倒的で、画面を支配する。色気どころではない、その動きは宇宙的であり、この世のものとは隔絶した何かを感じさせる。恐ろしいほどまでのパワー。
こんなことをつらつら書いていても野暮である。そんな傑作。