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マリウポリの20日間/実録 マリウポリの20日間のWNTのレビュー・感想・評価

4.2
ロシアによる侵攻を受けたウクライナ東部の都市・マリウポリ。
その市内で、戦火にさらされた人々の惨状を命がけで記録し続けたウクライナ人ジャーナリストたちがいた。
ロシアによる侵攻開始から壊滅までの20日間。
包囲されたマリウポリ市内では、いったい何が起こっていたのか。

平和に暮らしていた人々の日常を戦争が何もかも奪い壊していく姿を捉える。
民間人はターゲットにされない、家にいれば安心だと思っていた一日目。
しかし報道されている事実とは異なり、家が壊され住む場所を失い命の危険にさらされる。

地元を愛し暮らしてきた地域の人々や、撮影しているウクライナ出身のジャーナリストのミスティスラフ・チェルノフの心の揺れがリアルに伝わってくる。
なぜ攻撃されていて、どうしてこのようなことをするのか。
どうすればいいのか分からないまま、家と家族を奪われて立ち尽くす彼らを観ていると戦争の凄惨を感じ辛くて胸が張り裂けそうだ。

けれどこの事実を伝えなければ、繰り返してはいけない歴史として映像に残さなければいけないと使命感を感じている人もいて、この映像は人類の過ちをしっかりと捉えるメッセージとして有意義に使われている。
映画としてもクオリティが高く、現地であったことをそのまま伝える真のドキュメンタリー映画といえる。

マリウポリ侵攻のことは詳しく知らなかったけれど、分かりやすくて勉強になった。
多くの人に観てほしい作品で、第96回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞受賞も納得のドキュメンタリーだった。
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