牧師としての信仰心と教養、宗主国側の自尊心と上から目線、それに加えるなら写真を撮る機材とそれを扱える特権的技術、彼にあるものはまったくそれのみだった。
辺境の地での布教フロンティアとして必要とされる精神的逞しさ、そして現地民に対する寛大な慈愛が完全に欠けていてその自覚もない。ただの未熟でひ弱な青年であり、牧師としての信頼にも足り得ない人物。
自ら殻に閉じこもり何の役にも立たないへタレぶりがとにかく腹だたしい。
彼の卑小さがただただありのままの雄大な自然に呑み込まれていく、淡々とその様を眺めるような。しかし不思議な力のある作品。
