テロメア

Avalon アヴァロンのテロメアのレビュー・感想・評価

Avalon アヴァロン(2000年製作の映画)
5.0
先日、小説『アヴァロン 灰色の貴婦人』を読み、定期的に観たくなる本作を再鑑賞。長年本棚の肥やしになっていた小説でしたが、まさかがっつり続編だったとは。小説を読むと、世界観がより鮮明になりました。ただ、映画単独での曖昧なところが好きだったため、映画は映画、小説は小説と分けて考える方が個人的にはいいかな。映画での愛犬の存在の曖昧さは、主人公の帰属世界の曖昧さになって、ここを明確にするのはそれはそれで野暮だとも感じますし。

CGが日々進歩する技術だからこそ、未来で見劣りしようとも映画として残すためには、ゲーム内のエネミーという演出は上手いと当時から感じていたけれど、二十年以上経って観ても、レトロゲームをしているという当時とは違った感じ方ができたので、やはり、映画の外を考えた演出としても最適でしたね。映画は公開されてすぐに消費されるだけでなく以後も残るものなので、そうした公開後の見え方も意識されている映画はやはり残るなぁ、と改めて感じました。

当時から面白いと思っていた演出で、実写なのにその情報量が抑えられているため、それを解き放った瞬間、普通に撮っているだけでは得られない情報の爆発のように感じられるところが、アニメ監督として画面の情報量を増すためのコントロールをパト2などの演出本で語られるように、実写では逆に情報量を抑える減らすというところが効果的。今作のように実写でもっとも情報量を落としたのが『立喰師列伝』であり、あちらは映像の情報量を抑える代わりにナレーションで情報の洪水にさせている。そうした映像の情報量のコントロールが、CGが多用される現代の実写映画では必須となっているが、これらが意識されている邦画は『CASSHERN』以外に知らない。そしてそれらをしたところで、それが評価されないのが邦画界の特徴でもある。

続編である小説『アヴァロン 灰色の貴婦人』の舞台が日本なので、同じように『アヴァロン2』として撮ってほしいものだ。アッシュの役者さんも渋くなっているだろうから、続編として描かれたら最高だろうになぁ。などと、ぼんやりと妄想にふけながら、鑑賞後に妻とソーセージと卵を食べました。犬食いってどうして見ていてこんなに腹が減るのだろうか。
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