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AIR/エアのohassyのレビュー・感想・評価

AIR/エア(2023年製作の映画)
4.0
会社のお荷物な連中が果たす逆転劇。
王道中の王道映画は、やっぱり面白い。
心が躍る。

クライマックスの見所はスピーチ(演説)。
これも、特にアメリカ映画としては王道中の王道だ。
「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」「インディペンデンス・デイ」「ブレイブハート」「チャップリンの独裁者」「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」そして「パルプフィクション」など、枚挙にいとまがない。
特に「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」は本当に感動的で、演説といえばの映画としていの1番に思いつく作品なので、機会があったらぜひ観て欲しい。
アル・パチーノを心底好きになった作品。

Don’t touch me! I touch you!

仕事がらプレゼンテーションする機会も多いのだけれど、ロジックや実績ももちろん大切だが、結局のところスピーチの力には及ばない。
力不足を痛感する日々であるが、スピーチ力とは技術や頭の良さでは決してなく、想い(熱)であることを、マット・デイモン演じるソニーが教えてくれる。
人を動かすのは熱だと。
ソニーがジョーダン獲得を目標にしたきっかけも、上司や会社を動かしたのも、キーマンであるジョーダンママ・デロリスの心を掴んだのも、全てはソニーの中にある熱が元になっている。

熱は、信じられる。

ナイキの成功譚とソニーの熱を、さわやかで軽快に描くベン・アフレックの演出は、やっぱり結構好きだ。
ジョーダンをジョーダンとして登場させるのはとても難しいだろうなと思っていたのだけれど、「霧島、部活やめるってよ」的演出で解決している点も拍手。
役者としてはそれほどでもない(蛇足)けれど、本来英雄であるはずのフィル・ナイトを小馬鹿な存在として描いた本作でのキャスティングと演技は、とても好感が持てる。

マット・デイモンは文句なく素晴らしい。
ジョーダンという選手をバスケットシューズとして表現するというチャレンジに見事に応える職人、ピーター・ムーアにめちゃくちゃ憧れる。
1試合ごとに支払う罰金5000ドルをPRに昇華させるマーケター、ロブ・ストラッサーに尊敬の念を抱く。

フィル・ナイトの自伝「SHOE DOG」と合わせて楽しめば、きっとナイキ贔屓になってしまうよ。
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