あかっか

碁盤斬りのあかっかのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.0
2024_62 ❶❺

水清ければ魚棲まず

情あつければ碁盤さく


白石和彌監督がストレートに時代劇に挑む。とても真摯に向き合って作られた作品。それだけで評価に値するが、勿論内容も素晴らしかった。是非劇場で緊張感と共に鑑賞して頂きたい。オススメです!

一時期落語にハマり古今亭志ん朝師匠の聴ける噺は片っ端から聞いた。本作の原案となる柳田格之進はその中でも記憶に残る噺。しかし落語は笑い噺、本作はシリアスでスリリングに仕上げられていた。妻の仇討ちも加わり至極の人情噺に脚色され、サゲはわかっていてもドキドキしっ放しで終わった後でしっかり疲れた。

白黒の碁石と白黒だけでは行かない世界。己の意志と怒り、情けと誇りを断ち切る様に放った一太刀、痺れた。

勿論、語らない訳にはいかないのが草彅剛だ。芯のある浪人を見事に演じた。ドスの効いた声は震え上がるほどに恐ろしく、その真摯さに惚れ惚れした。他のキャストもみなさん素晴らしかった。清原伽耶はもう盤石だ。

以下、ネタバレというか検証。

気になったのは妻の死の真相だ。確かにあんな夫と暮らすのは息苦しいかも知れない。が、娘の絹を見る限りはやはり兵庫が原因か。掛け軸の件で兵庫が平然と嘘を吐く人間と描き、それでもその嘘を信じたかったという格之進。どちらを信じるかは明白だろう。
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