あぺ

碁盤斬りのあぺのレビュー・感想・評価

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.4
主演が草彅剛だからだろうけど、本作のジャケが俗に言うブロッコリー型のではなく本作の意図に沿ったデザインになっていることが嬉しい。白石和彌という名前だけでも入る客も多くいるのだろう。

孤狼の血シリーズでは何故か撮影の質が低いとシネフィルたちには酷評されていたけど(個人的にはあの暗すぎるライティングが劇場鑑賞にはハマっていたと思うけど。。)本作の撮影はF値低めで手前をボカシ奥にフォーカスを合わすことで画面に奥行きを持たせ、逆光を活かしたライティングも素晴らしかった。特に暗がりの撮影で光を反射する國村隼の皺と眼球は、クリーチャーを彷彿させるほど美しくも不気味。囲碁の撮影のボカシも洗練されていて碁盤と石だけに占有された画面はある種神々の遊びを想像とさせられた。

時代劇の活劇としては特に他作品から逸脱した点は無さそうだけど、白石和彌作品の魅力はそこではなくドロドロと溶けていくような人間の感情の醜さの演出だから、時代劇としての新しさはあったと思う。
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