りっく

ヴァチカンのエクソシストのりっくのレビュー・感想・評価

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)
3.5
冒頭から悪魔祓いとしてのラッセル・クロウが悪魔に取り憑かれた青年と対峙する。ここで例えば十字架や聖水といったアイテムを使用するのではなく、サタンの頭に血を上らせるような言葉で挑発し、豚に取り憑かせて射殺するという荒業を見せる。ここで劇中のキャラクターの倫理観がねじ曲がっていることを示唆してみせる。

本作はまず悪魔祓いと悪魔の罵り合戦が面白い。特にラッセル・クロウの相方的な存在となる若い神父に対し、聖職に就く立場のくせに陰でコソコソ娼婦と遊んでるんじゃねえよとブチギレさせる。相手の罪悪感や罪の意識につけ込み、誰にも知られたくない部分を引き出す悪魔の言葉は、そのまま腐敗した教会の権威を内側から暴き失墜させるようなスタンスが魅力的だ。

その後は完全にキャラ立ちしたふたりの神父のバディものとなり、悪魔と対峙する場面は「呪術廻戦」のようで、悪魔だけではなく、人間側まで人知を超えた術を駆使して相手を倒すバトルものへと突き抜けていく。モッサリしたラッセル・クロウの重量感あるアクションや変顔に思わず笑いながらも、エンターテインメントとしての見どころもきちんと押さえた作りになっている。
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