烏丸メヰ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

4.5
母の死に傷つき周囲からも浮いていた高校生ミア。
親友カップルと一緒に出掛けたパーティの場で、陽キャデビューしたさに皆の前で流行りの降霊術チャレンジに名乗りを上げた。
手の置物を握り語りかける……そして受け入れる。
しかし90秒を超えてはいけない。
手を離したら、蝋燭の灯を消すこと。


説明しすぎないが自然と想像できて不足も感じない、緩急に満ちた牽引力でラストまで導き突き飛ばすような、ストレートに恐ろしい心霊系ホラー。
思春期と母の死、初恋の人、父とのぎくしゃくに悩む少女が、降霊術をきっかけに精神的にぐらぐら揺らいでいく様は痛々しくも熱演に引き込まれる。
他にも「背伸びしたい年頃」「イキりキッズ」「周囲のイキりに流されず清く優しくあろうとする」等、(特に海外の)ティーンの心理描写をかなりキャラクターの個性にしている感じで、主人公らと同世代の若者にはより身近に感じられそうな味つけもいい。
“常識で、更には現実的に見たら危険な内輪ノリと興味本意の行為なのに、ハイになりイキって熱狂してる本人達には危機感がまるでない”
という、降霊術を薬物のメタファーとして描いた分かりやすさ、少年少女を主人公に据えつつ、目を覆いたくなるような現象の数々が容赦なく巻き起こる“おおごと感”への振り切りは◎!


ウィジャボードや度胸試し等“軽はずみな行動が一転して凄まじい恐怖に”系のティーンホラーは多いが、コンパクトかつ分かりやすく、描写も印象的で良かった。

冒頭、事故にあったのだろう、瀕死のまま苦しみ続けるカンガルーを前に
「楽にしてあげようよ」
と決断を迫られるミア。彼女の行動と、その時の判断への思い。
終盤、ミアに再び、そこに重なるようにして課せられる判断、そして、彼女の決めた行動……この重ね方の展開が凄く凄く良かった。

生前どんなに素晴らしい人であろうとも“罪”だとされる死の形がある文化圏だからこそ作れた強烈さもインパクト大。


昨日某バウアーホラー観てなかったら良くも悪くも1.5倍はショックだったと思う……怖……。
烏丸メヰ

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