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窓ぎわのトットちゃんのmokaのレビュー・感想・評価

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)
4.3
生活に侵食する戦争も、マイノリティの生きにくさも、柔らかく緻密に表現されてて凄くグロテスクだった。

戦争が足早にそして確実に生活に侵食していく様に、これがリアルなのかと思った。変わっていく食卓、服装、街並み、世間の価値観。学校の明るいシーンさえもずっと神妙な顔で観ざるをえなかった。

トモエ学園はさながら桃源郷のようだった。みんな育ちが良くて(東急沿線のそれなりに良い暮らしをしている子たちのようだった)、けどどこか多数の集団には馴染めなくて。そんな子たちひとりひとりに小林先生が向き合って、子どもたち同士も優しく交流して。すごい先生だ、本当に。
大石先生が叱責されているのを聞いたトットちゃんは、何を思ったのだろうか。
トットちゃんの幼少は、戦争さえなければ只幸福なものだっただろうに。トットちゃんは、優しくて強い。トットちゃんが、素敵な家族と学校のもとで育って本当に良かったと思う。

エンドロールで「トモエ学園卒業生」が出てきたときグッときてしまった。黒柳さんだけじゃなく皆、今もそれぞれの人生を生きられているんだなと。

休日朝ということで親子連れもたくさんいたけど、子供たちはこれに何を思うんだろうなあ
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