オーウェン

オーメン2/ダミアンのオーウェンのレビュー・感想・評価

オーメン2/ダミアン(1978年製作の映画)
3.7
世の中が混乱し、あるいは文化爛熟の時になると、とかく予言ということがクローズアップされてきます。
人類の滅亡、この世の終わり、善と悪との最後の闘争、ハルマゲドン。

そんな予言の中で、一番大きな予言が、旧約聖書ヨハネの黙示録に記されているものです。
人類の滅亡を目指して、悪魔の子がこの世の中に誕生し、邪魔になる者は、次々と抹殺していく恐ろしい予言ですね。

この映画「オーメン2/ダミアン」は、それを映画化して大ヒットした「オーメン」の続篇、第二部です。

あの悪魔の子ダミアンは、この作品では13歳に成長しています。
彼が初めて自分が悪魔の子であると自覚する、非常に重要なドラマが展開していきます。

それだけに、あの「エクソシスト」と並んで大ヒットした、この"オーメン"シリーズの中でも、一番ショッキングな場面が連続します。

ダミアンの正体を知った者が、次々に殺されていきます。
中でも、黒人の医者がエレベーターごと、真っ二つに胴を切られるシーンや、女性記者が鳥に襲われて惨殺されるシーンなど、もう、目を覆う場面の連続です。

そして、もう一つ、この映画の見どころは、その演技陣ですね。
ウィリアム・ホールデン、リー・グラントといったアカデミー賞俳優が競演しています。

また、お婆さん役に懐かしいシルビア・シドニーが扮して登場してきます。
「暗黒街の弾痕」などで、たいへん人気のあった美人スターですね。

この映画で、主人公のダミアンは13歳です。
この13歳という設定に、この映画のもう一つの意味があるんですね。

キリスト教の文化において、13という数字は不吉な数字です。
13日の金曜日に、キリストが処刑されたことから、この由来はきているのですが、悪魔の子ダミアンが、いよいよ不吉なことをし始めるという年齢には、ぴったりなわけですね。

しかし、私の心に残ったのは、ダミアンが自分が悪魔の子であるということを自覚して、なぜ自分が選ばれたんだと苦しむところなんですね。

13歳という年齢は、自分自身の存在、アイデンティティーを自覚する大切な年齢だということも、この映画では語られているように思えます。

そして、悪魔の存在は、そうした我々人間の悩む心の中にあるのだと思います。
自己中心の欲望が人を傷つけ、それが発展して戦争という悪魔が誕生するわけです。

そのことを、このようなオカルト映画の形をとって、この映画は我々に警告しているのだと思います。
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