ぶらぴーにょ

ミッシングのぶらぴーにょのネタバレレビュー・内容・結末

ミッシング(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

バッシングされる側を描いた「空白」に報道側の「由宇子の天秤」を足した感じ。
娘の発見に奔走する沙織里の思いとは裏腹に肉親との温度差と世間の関心の薄さに焦り、頼れるのは地元放送局の砂田のみ。
藁にも縋る思いで不確かな情報でさえも食らいつく。
一方、”確かな”情報とされるテレビ放送はホントに事実をありのままに伝えかつ、それを伝える義務があるのか。

えげつなさで言えば「空白」の方であったが、砂田が数字欲しさに暴走するのではないかと終始ヒヤヒヤした。
一昔前はテレビで失踪者特番が組まれて透視とかもあったけど、今は下火。それでもテレビの拡散力を頼りにすがりつく沙緒里。その取材もだんだん有力な情報を得るというよりかは、奮闘する家族を描く一種のホームビデオ的な装いになってくるけれども…
今の時代だったら変に切り取られる(編集される)よりも自らyoutubeなりで発信する方法もあったのではと思ってしまう。むしろ過去に「神見返り」で扱ったテーマなだけにその手段があってもよかった。

人間ドラマには定番化しつつある、SNS誹謗中傷やいたずら電凸なども盛り込まれていたが、訴訟を起こすとか、警察署での例の発狂シーンの材料にしかなっておらず、社会への投げかけとしては弱かった。
便所の落書きを恐れる沙緒里から弟への誹謗中傷LINEの流れは、立場が変わればやってることは同じという皮肉が効いている。弟が自殺するんじゃないかと思ってビビったな。

全体的なテーマとしては、「相容れない自分と相手」がある。
一見モブな背景の人々も何かと話がかみ合わなかったり、一方が声を荒らげている。(吉田監督の場合、ブラックコメディな受け取り方もできるが。)
沙緒里と豊、母親、警察、砂田はもちろん、圭吾ともその対立関係ではあったが、ある地点で溶解する。幼い頃は仲良し姉弟だったのだろう。
てか、母親の出番あれだけ??

「空白」と同じく自分の中で折り合いをつけて終演するが、行方不明な分終わりが見えず明確な敵がいないのが、辛いな。

2年後のスーパーで話しかけた親子の娘が美羽ちゃんのこと忘れてたのが、一番悲しかったわ。